分配金なしの投資信託はちょっと無理そうです

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先日の記事、国内ETF-1306の分配金が出ました:分配金について考えるのなかで、「分配金なしのファンドは無理なのか?」と書いたのですが、早速インデックス投資ブロガーの皆様からTwitterでコメントをいただくことができました。

結論としては、分配金なしの投資信託はちょっと無理そうです。書く前に自分で少しは調べてみるべきでした・・・

後学のためご教示いただいた内容をまとめておきます。

課税の公平性確保の観点から無分配は難しい

「課税の公平性確保の観点から、無分配の投資信託は難しい」というのがコンセンサスのようです。

ETFは国内ETF-1306の分配金が出ました:分配金について考えるで書いた通り、税法上収益は費用を控除したうえで全額分配しなければならないとされており、明確に無分配は不可能です。

吊られた男の投資ブログ(@tsuraoさん)の記事、投資信託の無分配と公平性と租税回避にわかりやすい例がありました。無分配が実現できない理由(の推測)を引用させていただきます。

投資信託の無分配を認めにくいのは、上で書いたような株式投資や債券投資との公平性、また租税回避スキームとしての利用を禁じるという理由はあるのではないでしょうか。
そのような理由であれば、ある程度の正当性があるように考えられます。無分配型投資信託の登場を強く期待してはいますが、そう簡単に無分配にすればみんなハッピーというものでもなさそうです。
投資信託の無分配と公平性と租税回避より

トラッキングエラー解消のための分配も

また、インデックスファンドの場合、連動対象インデックスに追従する目的で分配金を出さざるを得ないケースもあるとのことです。株式クラスのインデックスには、通常配当抜きと配当込みの2種類が用意されていますが、個人向けのインデックスファンドは連動対象が「配当抜き」になっていることも一因のようです。

後述する委託会社(運用会社)の回答内容を踏まえると、分配金を出さなければいけないから、連動対象を配当抜きインデックスにしている、ととらえることもできそうです。

インデックス追従の為の分配金の具体的な事例が、インデックス投資日記@川崎@kenz08)さんの記事、上場MSCIコクサイ株が分配金を出した訳 日興アセット勉強会で紹介されています。これはETFのケースですが、インデックス追従の為に分配金という理屈は共通です。

成績が指数より上方にかい離したため、指数連動させるために分配金を出した。

先物は証拠金だけ差し入れておくことで、残りの現金は短期債券などにて金利収入を得ることができる。

運用コストが低く抑えることができたため、金利収入によりリターンが指数より良かったことで、トラッキングを重視するために分配金を出した。

上場MSCIコクサイ株が分配金を出した訳 日興アセット勉強会より

「配当抜き」インデックスがベンチマーク

個人向け投資信託で、連動対象が配当抜きインデックスになっている理由については、竹川美奈子さん(@minakotakekawa)さんのeMAXISの説明会(その2)の記事でふれられていました。

抜粋すると

  • 一般に報道されるのはほとんどが配当除きの指数が中心。わかりやすさのため日本では配当除き指数を使ってきた。
  • 投資顧問と投信の運用は違う。租税特別措置法とその周辺の分配に対する規制があるので、いくばくかの資金を一定の条件になると分配せざるを得ない。

の2点が主な理由のようです。

また、同じ竹川さんのeMAXISの説明会(その2)の記事の中で、eMAXISシリーズについて

-分配金について
(これは最初の説明で)複利志向の分配方針。年1回で極力出さない。という説明がありました。
eMAXISの説明会(その2)より

という分配金に関する委託会社(運用会社)の回答(2009年当時)が紹介されています。

高配当ETFで戦略的インデックス投資日記@toyop129)さんのSTAMにまつわるエトセトラ 前編の記事では、STAMシリーズ(現SMTシリーズ)の分配金に関する回答が紹介されています(2008年当時。ちなみに、SMTグローバル株式インデックス・オープンは2013年、2014年に、SMT 新興国株式インデックス・オープンは2013年に少額ですが分配金が出ています)。

ベンチマ-クの件ですが、(企業年金・公的年金運用の経験が長い)私にとって個人的には違和感ありますが、配当なしが正式なベンチマ-クとなっております。
(企業年金・公的年金では、配当込みのベンチマ-クが一般的です。)ただ、内部管理上、弊社は配当込みのベンチマ-クを意識して運用を行っています。

分配方針については、セミナ-等別の機会でお話したいと思っています。
多くのお客様の要望を裏切ることは、当面はありません。
また、中長期的にも極めて少ないと思っています。

STAMにまつわるエトセトラ 前編より

このように、投資信託の分配金はルールが明確ではなく、委託会社(運用会社)の裁量に大きくゆだねられているようです。

まとめ

ここまで見てきたように、いろいろな事情があるようです。

そのため、過去の分配金の実績からそのファンドの分配金に対する考え方をくみ取り、近い将来の予測に使うことは完全ではないものの、ある程度は有効なのかもしれません。

いずれにしろ、少額しか投資できない個人投資家としては、NISA制度が恒久化してくれれば、分配金についてそれほど悩む必要がなくなるんですけどね…。

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