第4回 セゾン投信ブロガーズミーティングに参加して考えたこと

クリスマスの日に開催されたセゾン投信のブロガーズミーティングに参加させていただきました。私にとって、はじめてのブロガーズミーティングです。

ミーティングでは、セゾン投信の中野社長、セゾン投信とバンガードのご担当者、先輩インデックス投資ブロガー・投信ブロガーのみなさんとの率直な意見交換が交わされました。

この記事では、このブロガーズミーティングに参加して、印象に残ったこと、考えたことをご紹介いたします。

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議論の概要

本ミーティングで主に話された内容は、質疑応答を含めて

  • 日本郵便の資本参加と提携に関するアップデート
  • フィデューシャリー・デューティ宣言
  • 最近急激に進みつつあるインデックスファンドの低コスト化の流れ

具体的に話された内容については、m@(エムアット)さんが詳細なレポート―クリスマスの夜は今年もセゾン投信ブロガーズミーティング – “いい投資”探検日誌 from 新所沢―を公開されておりますので、こちらをご参照いただくのが一番かと思います。それにしても、すごい再現性でおどろきです。いつの間に…ほんとすごい。

以下では、ご説明いただいた内容・質疑応答内容を含め、印象に残ったこと、考えたことについて、トピックごとに触れたいと思います。

セゾン投信と日本郵便(郵便局)との提携

中野さんより、日本郵便との活動について状況の説明がありました。

日本郵便の資本が入ったことにより、セゾン投信・中野さんのやりたいことがやりにくくなっている、といったことは一切なさそうで、セゾン投信については引き続き追い風、良い状況にあることがよくわかりました。

現在のところ、引き続き既存のセゾン投信のユーザにとっては望ましい状況といってよさそうです。

また、セゾン投信らしさを損なうことなく、相乗効果を高めるための活動をじっくりと進められていること、日本郵便の方がお持ちの前向きなマインドについても説明がありました。

社会インフラ事業を担っている日本郵便が、資産形成についても社会インフラの一端を担い世の中を変えていきたいと志向することは、とても素敵なことだと思います。

セゾン投信が、日本郵便に安心してファンドの販売を任せることができるようになり、長期投資・国際分散投資の考えをしっかり理解した人が郵便局の窓口で資産形成に適したファンドを薦めてくれて、応援してくれる。そんなことが実現できたら、たしかに世界が変わりそうです。

いろいろと難しいこと、課題はあるでしょうし、相応の時間もかかるのも間違いありませんが、「長距離列車セゾン号」と同様じっくりどっしり、ワクワク気分で進めていけば乗り越えられるはず。これからのセゾン投信・日本郵便の連携に期待したいと思います。

セゾン投信のフィデューシャリー宣言

セゾン投信の社長の中野さんより、フィデューシャリー宣言の内容、それに込めた思い、今後の活用についてご紹介いただきました。

その宣言の内容は、中野さんのコメントとあわせて

で確認することができます。

印象的だったのは

  • 「”もっぱら”お客様のためだけに資産運用」することとしている
    (宣言では【「お客様のため」にのみ資産運用を行う者として】という表現が対応しているものと思われる)
  • 「それをどう実現するかに頭を使ってまとめたのがこの宣言」
  • 「お客様第一」と「”もっぱら”お客様のため」は違う
  • 「この宣言をまとめるのが今年一番の仕事だったかもしれない。出来てしまえばどうってことないかもしれないけど心血を注いだ」
  • 「この宣言をまとめたことにより、直接すぐに変わったということはない・むしろ、突然変わったことがあったら大変(今までは何だったのかということになる)」
  • 「今後の新しい成長などを考えるときにこれが行動規範となる、背骨みたいなもの。明文化したことに意義がある。常に自問自答できる。」
  • 現時点で投資信託業界でフィデューシャリー・デューティ宣言を行っているのは4社(リテールをやっているところはそのうちの3社)だけということ。
    [HCアセットマネジメント、セゾン投信、三井住友アセットマネジメント、東京海上アセットマネジメント、の4社(発表順)]

でした。

あらためて、セゾン投信のフィデューシャリー宣言を拝見してみると、なるほど気合いが入っていることがよくわかります。何のためにセゾン投信は存在するのかを改めて見つめなおして明文化した「設立趣意書」もしくは「Constitution(憲法)」のようでもあります。企業のDNAみたいなもの。

また、

で紹介されている、セゾン投信が実現したいこと(を踏まえて読むと「それをどう実現するか」を具体化したものということも納得です。

セゾン投信の目指すもの

セゾン投信は、毎日を一生懸命生きている日本の一般生活者がこれからの社会の姿を認識し、自らの人生づくりを自らの意思を持って行動していくお手伝いをする会社として2007年3月に営業を開始いたしました。

豊かな人生づくりのためにはひとりひとりの経済的な自立が必要で、そしてそのためには本気で行動することが求められます。「時間」をとことん味方に付け、自分のお金にしっかりと働いてもらうことで将来に向けた資産形成は誰でもできるのです。これがセゾン投信の提案する「長期投資」です。時間をたっぷり使ってお金を経済の中に働きに出す、しっかりと働いたお金はやがて複利で大きく成長し始める、そして私たちはその果実をじっくりと熟成させて待つ。

「さあ、長距離列車「セゾン号」での長期投資の旅をゆったりのんびり、そしてワクワク気分でご一緒に楽しんで参りましょう。

代表取締役社長 中野晴啓

セゾン投信からのご挨拶|投資信託ならセゾン投信より

他の3社の宣言の内容と比較しても、より踏み込んだものになっているように見えます。

他方、三井住友アセットマネジメントの、アクションプランの設定とそのための行動指針、進捗状況の可視化・公開(モニタリングシート)はよくできていると思いました。この点に関してはセゾン投信も実行していきたいとのことでした。

受益者である我々投資家として(そして、私の場合、ささやかながらブログで発信する者として)、ファンドだけでなく運用会社についても「いいものはいい、悪いものは悪い」と意思表示できるようにならなくてはと考えました。

どこがフィデューシャリー宣言をしていて、どこがしていないのか。宣言があるところについてはその内容と実施状況をウォッチしていきたいと思います。

インデックスファンドのコスト競争

最近のインデックスファンドのコスト競争について

  • 「コストだけでは太刀打ちできる状況にない」
  • 「しっかりとした理念と魂を込めたファンドであることを評価していただけると思う」
  • 「(最近の低コスト化は)誰かの犠牲のもとに成り立っているのではと思える水準」
  • 「誰かの犠牲が前提になっている低コスト化は(セゾン投信の)フィデューシャリーの考えにそぐわない」
  • 「インデックスファンドはコストだけではない。コスト以外の品質も重要。その点で評価していただけるようにしていきたい」
  • 「FOYなどで再評価していただけているのはうれしい」

という率直な感想がありました。

FOY: Fund of the Year 自分たちにとって本当によいと思える投資信託を投信ブロガーたちが投票で選び、称えようというイベント

本節では、これに関していくつか考えたことをご紹介します。

手段としての低コスト化。あきらめないこと。

独立系投信で実務を行っている立場からのこういった見解はとても実感がこもっていて響きます。それと同時に、他社低コスト化はほんとにすごい水準なんだな、とも。

ただ、以前から確定拠出年金向けや機関投資家向けでは、これまでもこの水準で運営されているのも事実ですし、他社もバカではないですから、なんの戦略もなしに、将来にわたり持続可能でない商品を出してくるとも思えません。

今の枠組みやしくみのもとでは確かに難しいかもしれない。でもそこであきらめてしまえば進化は止まってしまいます。

知恵・工夫を凝らしてよりよくするといったよくなろうとしていることと、その状況についての発信は忘れないようにしていただけると何よりと考えます。ユーザーも安心できますからね。

セゾン投信から「あきらめている」という発言があったわけではないです。念のため。長期投資・国際分散投資で資産形成をおてつだいしたい、という心意気なわけですから。

次項で触れますが、投資家は(&運用会社も)、インデックスファンドのコストを下げるのが目的ではないということは理解しておく必要があります。

コスト以外の品質も重要

「コスト以外の品質も重要」というのは同意です。投資家としては「コストが低いからうれしい」というわけではなく、「コストが低くければ、その分ベンチマークからの下方乖離が少なくなる可能性が高い。なぜならコストは確実なマイナスリターンだから」という考え方が健全なわけです。

既に多くのブログ等で取り上げられているとおり、ニッセイアセットマネジメント株式会社が「<購入・換金手数料なし>」シリーズの3ファンドの信託報...

で触れたとおり、一つの手段に過ぎない(影響は非常に大きいのは間違いないけど)コストだけでなく、目的である品質の部分についても評価できるようにならなければと改めて思いました。

でも、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドはバランスファンド=合成インデックスなので、客観的な品質の評価、ライバルとの比較がしにくいんですよね…。

株式クラスだけのバランスファンドの可能性は?

FAQだろうな、いつも聞かれてうんざりさしている質問だろうな、と思いつつ、どうしても我慢できなくて、私から質問させていただきました。「株式だけのインデックスファンドの可能性はないのですか?」と。VTの投資信託版みたいなイメージです。

VTを買えばいいじゃないとか言われてしまいそうですが、以下の記事で見たように、ETFの売買は投資信託に比べるといろいろストレスです。

投資方針書 2014年10月に記載した通り、インデックス投資に使う商品(investment vehicle)を、国内ETFから投資信託に変...

さらに、VTは米国市場に上場されているETF=海外株式扱いなので、取引時間が深夜になる、売買手数料が低廉ではない、為替手数料が必要になる、などさらにハードルが高くなります。

自分、および自分の妻がアセットアロケーションを考えるとき、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドだと(私たちの好みでは)使い勝手がよくないと感じざるを得ないところがあるからです。

ポートフォリオのリスクは債券クラスと株式クラスの比率で制御したい。トータルの為替リスクも制御したい…など(本校執筆時点での外貨比率は85%程度なので、私としては少々為替リスク取りすぎだなと思ってしまうわけです)。

それに対する中野さんの回答は、明解で納得のいくものでした。要旨は

  • 資産形成をしたいけど自分でアセットアロケーションを組んだりまではできない方々がメインのターゲット
  • そういった方々に対して一本で済ませられるように考えて作ったのがセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドで、これが理念でもある
  • そのためバラ売りは考えていない

ということ。確かに、自分でアセットアロケーションをしっかり組んだり、インデックス投資ブログを書いたりしていたり、読んでいたりするのは、世間一般ではかなり特殊(これを読んでくださっている貴方もですよ…ふふふ)。

自分でアセアロなんかを組めなくても資産形成はできる、そういう人のお役に立ちたいという思いからすると、単純化して迷わなくて済むようにするのはたしかに重要。それで物足りないと思うようであれば、自分でほかの方法を見つければよいわけです。

でも、でも…。セゾン投信が目指している世界に一歩近づけばまた状況は変わるはずなのです。

多数派が、資産形成の重要性、そのための限りなくベストに近いベターな手段は、長期投資・国際分散投資であること、カギは資産配分(アセットアロケーション)であることに気づき、実践し始めるという世界。

こういう状況になったら、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(と、セゾン資産形成の達人ファンド)だけでは、期待に応えることはできないのではないか…、と考えるわけです。

「将来もこの2本のファンドでいく」というわけではなく、「今はこの2本で、バラ売りは考えていない」。「将来的には、目的の実現のためにその時点で最適な手段を検討する」ということだったらいいな、と思いました。「未来永劫2本だけ」との発言があったわけではないです。念のため。

ミーティングのあと、先輩ブロガーのみなさんから「よくある質問だけどいつも回答は同じでぶれない」と教えていただきました。

その他雑多なこと

以降は、さらに雑多な気づきについて簡単に触れてみます。これまで以上に雑多で、独り言のような感想ですので、その点ご注意を…。

稼ぎすぎませんと言い切る株式会社

一般の事業会社、しかも激しい国際的な競争にさらされている業界(の斜陽気味といわれてしまっている企業)で働いている身からすると、セゾン投信のフィデューシャリー宣言ってすごいと思わざるを得ないのが「稼ぎすぎません」と言いきっている点です。

株式会社なわけですから、株主に対しては「利益を最大化して株主の皆様に報います」とするのが自然なところ。

それを、一言でいえば「お客様の利益の実現するためにのみ資産運用管理業務をおこないます。稼ぎすぎません。普段の経営努力によりコストの低減に努めます」としているわけです(セゾン投信:フィデューシャリー宣言の第3項を意訳)。

これはなかなかできることではありません。中野社長あってこそかもしれない。

そして、今現在のところ、株主である、クレディセゾンと日本郵便がそれをよしとしているわけです。

すごいなーと思わざるを得ない。

「誰かの犠牲」と「事業ポートフォリオ」の違い

インデックスファンドの低コスト化に関する「誰かの犠牲が前提になっている低コスト化は(セゾン投信の)フィデューシャリーの考えにそぐわない」について。

一般の会社の場合、その時点でのキャッシュカウ事業で得た利益を、次の事業の柱となりうる領域(成長領域)に先行して投じることは当たり前、当然やるべきことで、逆に、このサイクルをしくじると、組織としての存続が危うくなるわけです。事業ポートフォリオ、ライフサイクルと言われる考え方。

この点でも一般の事業会社との違いがあるんだなとハッとしました。どちらがいい、悪いとかではなく。

以下は、セゾン投信というより投信業界全体に対するモヤモヤです。

資産形成の手段としては望ましくない毎月分配や通貨選択型の高コストなファンドと、低コストなインデックスファンドの組み合わせを事業ポートフォリオとみなすのが妥当なのか、これがむずかしい。

高コストファンドを選んでいる方が、もろもろ理解してそれでも、自分の意思で選んでいる分には何も問題もないのですが、現状はとてもそうとは思えないのでむずかしいし、意見のわかれるところ。

家電・AV機器・車でも、普及モデルだけ売れてたら、事業としては成り立ちません。ハイエンドから普及モデルまでそろえて全体で収益を確保する必要があります。ハイエンドを買ってくれる人がいるから安いモデルもできる。こちらは製品ポートフォリオという考え方ですね。

また、多くの会社が存在し競っているわけですから、綺麗ごとだけでは生き残っていけない、生き残っていけなければ本当にやりたいと思っていることもできないし、とジレンマがあるなぁと。

このように、いろいろなことがからみあっていて、実にむずかしい。

私は、いいものはいい、悪いものは悪いといえるようになり、発信し続けることで、このモヤモヤを少しずつ晴らしていけるといいなと考えています。

「直販」のトレードオフ

セゾン投信のこだわりの一つが「直販」であることに違いありません。これによるメリットは大きいはず(投資教育、対話、価値観が共有できることなどでしょうか)。

他方、それによるデメリットはなにか、トレードオフについて興味が出てきました。理念を共有できる販売会社に販売を委託することにより、得るものと、失うものがあるはず。

  • 仕事でシステム開発業務に携わっているもんですから、独自でシステムを開発し、保守管理していくには相当のコストがかかるはずだよなぁ
  • 「長距離列車セゾン号」の切符は、ほかの窓口でも買えたほうが間口は広がるよな

など。

当然、こんなことをもろもろ考えた結果、今の形になっているはずで、そのロジックを知りたくなりました。今後、時間を取って調べてみたいと思います。

おわりに

はじめてのブロガーミーティングに参加させていただき大変勉強になりました。

中野さんの若々しさと熱意、セゾン投信・バンガードのご担当者の考え方、みなさん信念、やっていることに自信をもって働く姿など、同じ会社員としてもハッとさせられることが多く大変有意義でした。

また、インデックス投資ブロガーとして認知していただけたということですから大変光栄なことでもあります。

このような機会を与えていただきまして、セゾン投信・バンガードのみなさまには感謝いたします。

私はマニアックなインデックス投資家ゆえ、残念ながら今すぐに「長距離列車セゾン号」に乗車するわけではないのですが、「一般人の自発的な長期投資・国際分散による資産形成」という目指すべきところは共通です。

これからも、個人の目線で学んだことや気づいたことについて発信して、すこしでも、貢献していければと考えています。

本記事のアイキャッチ画像は、懇親会でいただいた、Bogle Vineyards(カリフォルニア)のワインです。インデックスファンドの父Bogle氏と同じ名前のワインです。シャルドネ白と、メルロー赤を大変おいしくいただきました。ワインはおいしくいただいてなんぼのものです。

最後に、今回のブロガーミーティングに参加された皆さんのブログ記事へのリンクをご紹介いたします(順不同)。それぞれの視点からの記事、大変興味深いです。適宜追加する予定です。

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