リターンとリスクの年率換算方法

2014/7/29 2015/11/19 金融工学

投資対象のリターンやリスクは一般に年率で扱われます。バリュー平均法での投資は3ヶ月に一度のため3ヶ月単位でのリターンやリスクを扱う必要があります。

この記事では、ある期間のリターンやリスクを異なる期間の値に換算する方法について紹介します。

計算なしで換算できる早見表もありますよ。

リターンの換算方法

月次リターン $r_m$ からリターン年率 $r_y$ に換算する場合は

$r_y=(1+r_m)^{12}-1$

とします。

リターン年率 $r_y$ から月次リターン $r_m$ に換算する場合は

$r_m=(1+r_y)^{\frac{1}{12}}-1$

とします。

リターン年率 $r_y$ から3ヶ月間のリターン $r_q$ に換算する場合は

$r_q=(1+r_y)^{\frac{3}{12}}-1$

とします。

これを一般化すると、ある期間のリターン $r_s$ を $n$ 倍の期間に換算したリターン $r_t$ は

で求めることができます。

より短い期間に換算する場合は、 $n$ は1より小さい値となります。たとえば、先の例のように、年率を月次にする場合は $n=\frac{1}{12}$ とします。

$n$ 乗して複利で計算するのがポイントです。「同じリターンが継続したら、どれだけのリターンになるのか」を求めるために換算しているので、複利効果を考慮する必要があるためです。

ExcelやGoogle スプレッドシートで、5の $\frac{1}{12}$ 乗を計算する場合は

=5^(1/12)

という数式を使います。

月次リスク $\sigma_m$ を、リスク年率 $\sigma_y$ に換算する場合は

$\sigma_y=\sigma_m \times \sqrt{12}$

とします。

リスク年率 $\sigma_y$ を月次リスク $\sigma_m$ に換算する場合は

$\sigma_m=\sigma_y \times \sqrt{\frac{1}{12}}$

とします。

リスク年率 $\sigma_y$ を3ヶ月間のリスク $\sigma_q$ に換算する場合は

$\sigma_q=\sigma_y \times \sqrt{\frac{3}{12}}$

とします。

これを一般化すると、ある期間のリスク $\sigma_s$ を、 $n$ 倍の期間に換算したリスク $\sigma_t$ は

$\sigma_t=\sigma_s \times \sqrt{n}$

で求めることができます。

より短い期間に換算する場合は、 $n$ は1より小さい値になります。たとえば、先の例のように、年率を月次にする場合は $n=\frac{1}{12}$ とします。

リターンの標準偏差であるリスクを $\sqrt{n}$ 倍して計算するのがポイントです。

換算は「各期間のリターンがそれぞれ独立、かつ、同じばらつき具合で継続したとしたとき、どれだけのリスク＝標準偏差になるのか」を求めるために行います。

この前提のもとでは、期間が $n$ 倍になると分散が $n$ 倍になります。

分散は標準偏差の二乗、すなわち、標準偏差は分散の二乗根なので、期間が $n$ 倍になったときの標準偏差は $\sqrt{n}$ 倍となるのです。

ExcelやGoogle スプレッドシートで、 $\sqrt{\frac{1}{12}}$ を計算する場合は

=SQRT(1/12)

または

=(1/12)^(1/2)

という数式を使います。

年率リターンを、半年、3ヶ月、1か月のリターンに換算する早見表です。

年率リスクを、半年、3ヶ月、1か月のリスクに換算する早見表です。