生活防衛資金についてもうすこし

先日、生活防衛資金についての記事、生活防衛資金に対する私の考え方を掲載してから、もうすこし、生活防衛資金について考える機会がありました。自分自身の悩みと、それに対する現時点での認識を記録しておきたいと思います。

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生活防衛資金と投資運用資産を別枠にするかどうか

生活防衛資金と投資運用資産をどう考えるか、具体的には、生活防衛資金と投資運用資産を分けるか、投資運用資産の中で生活防衛資金を確保するかについては、先日の記事「生活防衛資金に対する私の考え方」で取り上げましたが、最終的には管理の手間と好みの問題だと理解しています。

分けるにしろ、一緒にするにしろ、一定期間の生活を防衛するために必要な金額を確保するべきということには変わりはありませんし、自分の資産全体でどれくらいのリスクを負っているかを把握しておくべきであることには変わりありません。

私自身は、生活防衛資金に対する私の考え方で書いたように、まだ資産総額が多くないこともあり、投資運用資産の日々の値動きに振り回されずにすみ、投資にまつわる精神的な負担を低減することにメリットを感じているため、生活防衛資金を別枠で確保管理しつつ、適宜資産全体でのリスクも確認する方法をとることにしています。

生活防衛資金が貯まるまでの間は投資をしてはいけないのか?

セオリーは「まず生活防衛資金を貯めること」だと理解していて、私もこれに同意します。

失業など不測の事態に見舞われたとしても、当座の生活を守りきり、建て直しのための時間を確保できるだけの余裕がないと、マーケットの日々の上下が気になってしまい精神衛生上好ましくありません。

ただ、生活防衛資金を貯めるために数年レベルの長い時間がかかり、その間一切投資しない、となると、それによる機会損失が気になることも事実です。ただし、ここでの「機会損失」は、よくある「儲け損ない/損失回避」のことではなく、「学習と経験の機会を逃す」の意味です。

自分が汗水流して稼いだお金を、投資に回すとなればいやでも真剣に学ぼうとするはずですし、経済の動きや関連するニュースへの感度も上がるはずです。また、含み益や含み損を経験し慣れることは、来るべき本格的な投資活動にとって非常に有益です。

この「学習と経験」の効果を期待して、生活防衛資金をためている間も、なんらかの形でお試し投資を開始したほうがよいと考えます。

ただ、あくまで、お勉強のためのお試しとして、各アセットクラスのインデックスファンドを数百円から数千円、最初に一回だけ買う、もしくは、お試しの範囲で少額を毎月積立するなど、極少額にとどめるべきと考えます。

また、「学習と経験」が目的なので、おまかせバランスファンドよりは、バラのインデックスファンドの組み合わせ(日本株式、先進国株式、新興国株式など)のほうがよさそうです。それぞれの値動きが違うことが認識でき、世の中で起きていることとの対応付けが可能なほうが効果的です。

勤務先に、企業型確定拠出年金制度がある場合はそれだけでも十分です。企業型だと「自分の収入から投資した」という実感が少し減ってしまうのは難点ですが。

確定拠出年金の活用について、換金性の観点から1点注意すべきことがあります。確定拠出年金は老後にならないと引き出せないので、生活防衛資金をためている間は、いくら税制上有利だからといっても、企業型確定拠出年金でのマッチング拠出や、個人型確定拠出年金の利用は控えめにしたほうがよいでしょう。いざ必要となった時に、口座に資産はあるけど使えないだと困りますから。

生活防衛資金を使って生活を立て直した後、どう投資を再開するべきか?

失業などの不測の事態に見舞われ、生活防衛資金を使って生活を防衛し、無事生活の立て直しが完了した後、投資をどう再開したらいいのか。

例えば、必要な金額だけ生活防衛資金をためてから投資・積立などを再開するのか、上記のように両方を同時に貯めはじめるのか、投資運用資産を取り崩して生活防衛資金に充当するのかなど。

これはケースバイケースで、事前にこうするということを決めておくのは難しそうです。その時点でのマーケットの状況や、生活・収入の安定度など、多くの要素が関係してくるためです。

強いて言えば

  • マーケットの状況がよく、投資運用資産を取り崩しても苦痛ではない状況(含み益が多くなっている好調時など)では、投資運用資産を取り崩して、生活防衛資金を確保して通常の積立フェーズに戻る
  • マーケットの状況がとても悪く、とても投資運用資産を取り崩せない状況では、生活防衛資金への拠出を優先して、ごく少額だけ積立を継続

とするのがいいのかなという考えがありますが、生活防衛資金が必要になるくらいの状況では、他にも考慮すべき要因はたくさんありそうで、やはり一概には決められそうにありません。投資の大前提であるリスク許容度が変わっている可能性も十分にあります。ご参考:リスク許容度の決め方

何はともあれ、働きながら将来に備えて資産形成をするために重要なのは、本業を大事にすることと、長い間投資を継続すること=マーケットの動きにかかわらず投資の場から退場しないこと。そのための備えは万全にする必要がある。そのための重要なポイントが精神面の負担をいかに軽減するかということだと理解しています。リーマンショックなどの修羅場を乗り越えてこられた先人のアドバイスや教訓を参考にして、自分なりに備えていきたいと思います。

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