生活防衛資金に対する私の考え方

先日来、生活防衛資金をどうするかについて、ブロガーおよび読者のみなさんの間で、主にTwitter上で議論が続けられています。

その議論では、リーマンショック・金融危機を乗り越えてこられた先輩投資家・ブロガー・ツイッタラーのみなさんから、貴重なアドバイスをいただくことができ(たいへんありがたいことです)、改めて生活防衛資金について考えるよいきっかけになっています。

これらの議論を踏まえて、自分の、生活防衛資金についての現在の考え方、関連する「無リスク資産」「個人向け国債」「国内債券」についての考え方・使い方を整理しておきます。

投資方針書 2014年10月の、生活防衛資金に関する考え方、生活防衛資金、国内債券クラス資産、待機資金の商品選定根拠の解説的な記事になっています。

あくまで、「自分はこう考えている・こうすることにしている」ということをまとめたもので、「これが正しい」とか「こうすべき」ということを主張する意図は全くありません。投資判断はあくまで各自の自己責任にておねがいいたします。

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生活防衛資金の二つの意義

生活防衛資金については、数多くの先輩個人投資家・ブロガーのみなさんが、その重要性を折にふれ発信してくださっています。

たとえば、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー【第2回】 金融危機、リストラ、災害、入院…不測の事態にも安心して投資を続ける秘訣とはなど。

実際、この記事、特にこの節は、この水瀬さんの記事の受け売り・劣化コピーになっています。申し訳ありません。ただ、とても重要なことなので、受け売り・劣化コピーになってしまったとしても、自分で解釈したことを自分の言葉でまとめることを優先しました。

私自身も、生活防衛資金の重要性(というよりは、生活・家計と切り離して、余裕資産で投資を行うことの重要性、といったほうがいいかもしれません)を経験し実感しています。

プロフィールに記載してある通り、過去に国内個別株に投資をして大きな損失を被った経験があります。このときの投資金額、損失金額は決して小さくないものの、余裕資金の範囲内でしたので日々の生活には全く影響が出ませんでした。そのため、精神的にも負担はありませんでした。

2007年以降の世界金融危機は、仕事がとにかく忙しく、完全に塩漬けでほったらかしで、日に日に下落する資産価格をつぶさには見ていなかった、いうのも一因ですが。

私自身は、十分な生活防衛資金を確保することには、二つの意義があると考えています。

一つ目は、その名の通り、「なにがおきても、自分と家族の生活を守りきるための資金」という役割です。

失業、病気入院、介護など理由のいかんにかかわらず、就業不能・収入減や臨時出費などの状況に直面してしまった場合に、生活を守ると同時に、立て直しのための時間を確保するために必要な資金。

二つ目は「長期にわたる投資を続けて上で発生する精神的な負担を軽減させる精神安定剤」としての効果です。

生活防衛資金を持つことにより、通常の生活を送る・守るための資金と、資産形成のために投資しリスクにさらしている資産を明確に分離することができるようになります。この分離は資金・資産を、必要になる時期で分離する、ということでもあります。

投資を長いこと続けている間には、マーケットの大幅な上昇や下落をなんども経験することでしょう。当座必要になるかもしれない資金(生活防衛資金)を確保することにより、(相当先の将来に必要になるはずの)投資運用資産の日々の値動きに振り回されずにすみ、投資にまつわる精神的な負担を低減することができます。精神的に負担が少ないということは長期間にわたり投資を継続するうえでとても重要な要素だと考えています。

2013年、2014年と、世界マーケットが全体的に上昇基調だった今こそ、改めて、ポートフォリオの負っているリスク(リターンのぶれ幅=標準偏差σ)を確認し、期待リターン-2σ程度の下落は普通にあり得ること、しかも、そのリスクは常に負っていること(-2σの後にまた-2σをくらうことだってあり得えるということ)を、改めて覚悟しておくべきと思いました。

十分に生活防衛資金を確保しているからといって、もちろん、投資している資産がなくなってもかまわないというわけでもないので、投資している資産については、リスク許容度に応じたアセットアロケーションでリスクを制御することになります。

これについては、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー【第5回】 保有資産の値動きの9割を決める資産配分の「肝」は意外にも日本債券だった!が参考になりました。

生活防衛資金と投資運用資産を明確に分離しない考え方をとる人もいるが…

生活防衛資金と投資資産の区別をあえて明確にしない考え方を取っている方もいらっしゃいます。

山崎元さんは、著作全面改訂 超簡単 お金の運用術 (朝日新書)で、

  • 当座の生活に必要なお金(例えば生活費3か月分程度)を銀行の普通預金に置く
  • 残ったお金を、リスクを取ってもいいと思う「リスク運用マネー」と、元本割れを想定せずに済む「無リスク運用マネー」に分割する
  • 大きな支出の必要が生じたら、「リスク運用マネー」あるいは「無リスク運用マネー」のいずれかを「躊躇なく」部分解約してこれに充てる

としてます。

この書籍の、これらの核心部分は、山崎元のマルチスコープ:高齢者の資産運用心得7箇条で読むことができます。

これは、「生活防衛資金と投資運用資産を明確には区別しないかわりに、生活防衛が必要になった場合には投資運用資産を「躊躇なく」取り崩すという考え」だと理解しています。

常に生活防衛資金を投資とは別枠で潤沢に確保しておくということは、投資にまわせる資産が減ってしまうというデメリットにつながる(トレードオフがある)、ということを踏まえれば、

  • 生活防衛資金分を確保できるようにポートフォリオを、定期的にモニタリング・メンテナンスできる
  • リーマンショックなどのように、資産の目減りと、雇用不安の増大が、同時に、ものすごい勢いで進行している中でも、枕を高くして眠れる
  • 資金が必要になった時には、投資運用資産を、たとえそれがどんなに含み損を抱えていたとしても、「躊躇なく」取り崩すという冷静な判断ができる
  • 生活の立て直しが完了して資産形成フェーズに戻るさい、何事もなかったかのように、以前と同様に積み立てを再開できる

が確実にできるのであれば、あえて分離しないでおくほうが投資理論上は合理的なのかもしれません。ただ、これは非常にタフでハードルが高いと言わざるを得ません。少なくとも、今の私には絶対に無理です。

ただ、投資運用資産の規模が桁違いに大きく、運用資産総額に対する生活費の金額が十分に小さい場合には、あえて生活防衛資金を別枠で確保する必要性はないのかもしれない、とも思います。

生活防衛資金をどれだけ確保しておくべきか

生活防衛資金(もしくはそれに相当する位置づけの資金)をどれだけ確保しくべきかも、人によって意見のわかれるところのようです。例えば、生活費の3か月分だったり、2年分、3年分など。

ただ、これはどれだけ慎重になるか、に加えて、上記のように、生活防衛資金でどこまでカバーするつもりかという前提に大きく依存します。

個人個人で、どれだけ慎重になってそなえるかをもとにして、生活防衛資金の位置づけ・カバー範囲と量に一貫性をもって決めるべきことなのでしょう。

私はどうするか

投資方針書 2014年10月から、生活防衛資金に関するところをピックアップしてご紹介します。

私は、前述した通り、生活防衛資金と投資運用資産を明確に分離することにメリットを見出しています。

それゆえ、「本当によっぽどのことがない限りは投資運用資産を取り崩さなくても済むようにする」べく、「収入が途絶えたしても、2年間は生活を守りきり、立て直しのための時間を稼げるだけの金額」を「元本保証の日本円資産」で確保することにしています。具体的には、ペイオフ範囲内の銀行預金(普通預金、定期預金)、個人向け国債変動10年で確保しています。

生活防衛資金は先の東日本大震災など、社会インフラが機能できない時にも必要になるものです。そのような事態にそなえるために、生活防衛資金の一部はサバイバル資金として、生活圏に密着した有人店舗網を持つ都市銀行を中心に、分散させています。詳細は、サバイバル資金とロケーション:非常時に備えた生活防衛資金のロケーションをご参照ください。

生活費の倍率でとらえているのは、生活を防衛するための資金であることからきています。2年間分の根拠はそれほど強くありません。立て直しのための時間かせぎ、精神安定剤という2つの役割と効果から、1年分では心もとないが3年分では多すぎるかな、くらいの感覚です。

私の場合、教育費が当初想定より多くかかりそうなことがわかってきたので、金額を増やしてそなえるつもりです(2年分の生活費というカバー範囲は変えない)。

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー【第2回】 金融危機、リストラ、災害、入院…不測の事態にも安心して投資を続ける秘訣とはでも、具体例を紹介しつつ2年分を推奨されています。とはいえ、投資判断は自己責任にてお願いします。

私自身の名義で2年分を確保することにしています。世帯全体でみると、妻の資産の大半が銀行預金になっていることもあり、今のところ、より安全な方向に振れています。

生活防衛資金でカバーしきれない事態にこそ、保険で備えるべきということを学びました。自動車や自転車などの対人・対物補償、自宅の火災・地震保険など。

おまけ:「無リスク資産」と「個人向け国債」と「国内債券」という言葉

Twitter上の議論では、「無リスク資産」または「無リスク運用資産」、「個人向け国債」、「国内債券」も、生活防衛資金に関連する言葉として話題にのぼっていました。いずれも、人や文脈によって、意味や目的、使い分け方が変わりがちなためと想像してます。

これらの言葉を見聞きしたとき、どういう意味で使っているんだろうとか、今は何を意味しているんだろうか、と意識するようにすると混乱が避けられると思います。

以下では、ご参考まで、私はこう考えていて、できるだけこういう意味で使う、このように使い分けようとしているという内容をご紹介します。

「無リスク資産」または「無リスク運用資産」

「無リスク資産」または「無リスク運用資産」という言葉は、前述の山崎元さんの著作全面改訂 超簡単 お金の運用術 (朝日新書)でも使われています。

前述したとおり、この書籍では、生活防衛資金と運用資産をあえて明確に分離していません。そのため、「生活防衛資金的な安全資産」という、資産の用途としての意味と、銀行預金・個人向け国債・MRFといった元本保証(もしくはほぼ元本保証)のある資産や、その性質としての意味があいまい、もしくは文脈依存になりがちです。これに端を発する混乱や誤解が時折見受けられるため、私自身は、できるだけこの言葉を使わないようにしています。

あえて自分なりに定義をするなら、「元本保証の日本円資産、および、それらの具体的商品群の総称」とします。生活防衛資金などの資産の用途の意味では使わないようにします。

具体的な商品は、

  • ペイオフ範囲内の銀行預金
  • 個人向け国債
  • MRF(正確には元本保証ではない)
  • (日本円現金)

が相当します。

「個人向け国債」と「国内債券」

個人向け国債は、日本国が個人向けに発行している国債のことで、これについては人や文脈によってぶれることはないはずで、私もこの意味で使います。

国内債券は、アセットアロケーションのなかの国内債券資産クラス、または、それに相当する具体的商品(NOMURA-BPIをベンチマークとするインデックスファンドなど)の総称として使われることが多いようです。たいていは文脈から区別がつきますが、私は、前者については「国内債券クラス」、後者については「国内債券ファンド」や「国内債券クラスの商品」とできるだけ区別するようにしています。

人によって考え方が違うのが、

  • 個人向け国債をどのアセットクラスとみなすか
  • 国内債券クラスに対して、国内債券ファンドと個人向け国債のどちらを使うか、または、どのように使い分けるか

の2点だと思います。

私は、生活防衛資金と投資運用資産を明確に分離することにしており、さらに、投資運用資産内に、国内債券クラスの資産と、待機資金を持つことにしています。これらを踏まえて、以下のように使い分けるようにしています。

生活防衛資金は、「元本保証の日本円資産」、具体的には、ペイオフ範囲内の銀行預金(普通預金、定期預金)、個人向け国債変動10年で確保します。MRFでもいいのですが、最終的には物理的に口座も分離したいのでMRFは使わないようにしています。

投資運用資産のアセットアロケーションにおける国内債券クラスには、債券の価格が高止まり(金利は低い)の現状を鑑みて、当面の間、個人向け国債変動10年を使うことにしています。金利が多少低くても、元本保証(価格保証)があり、かつ将来の金利上昇にも対応できる個人向け国債変動10年は、今のところ、相対的に有利な商品だと考えています。将来、債券価格が十分下落(金利は上昇)した際には、国内債券ファンドなどへの切り替えも検討します。

投資運用資産内の待機資金は、MRFやペイオフ範囲内の銀行預金(普通預金もしくは2週間程度までの超短期定期預金)を使うことにしています。今はまだ完全にはできていませんが、生活防衛資金とは物理的に口座を分離したいと考えています。

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