バリュー平均法とは

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バリュー平均法は、1988年8月に米国のMichael E. Edelson博士により”Value Averaging: A New Approach to Accumulation” という論文で発表された、積み立て手法です。

積立投資手法といえば、毎期一定金額を購入し続けていくコスト平均法が一般的ですが、バリュー平均法は、毎期、マーケットの状況にあわせて、積み立て金額を変動させるのが特徴で、コスト平均法より総じて良いリターンを得ることができるとされています。

海外では以前より知られていたようですが、日本では、ごく最近(2014年5月)、岡本 和久さんの自分でやさしく殖やせる 「確定拠出年金」最良の運用術で紹介されたことをキッカケに、注目を集めるようになりました。

バリュー平均法による積み立て投資

バリュー平均法では、毎期、投資後の資産評価額があらかじめ決めておいた額になるように投資額を調整しながら積み立てていきます。また、この毎期の資産評価額の目標をバリューパス(経路)と呼んでいます。

マーケットが低迷して、保有している資産の評価額が目減りした場合は、予定していた投資額(予定していた評価額増分)に目減りした分を加えて積み立てます。

逆に、マーケットが好調で、資産評価額が高くなっている場合は、予定していた投資額から上振れした分を減らして積み立てます。上振れ分が予定していた投資額を上まわっている場合には購入ではなく、その分を売却してしまいます。

これにより、「投資額は常に一定で、安いときは多く買える、高いときは少しだけ買える」のコスト平均法に対して、よりダイナミックに投資金額を変動させて「安いときは投資額を増し多く買う、高いとき投資額を減らして少し買う、もっと高いときは買わずに売ってしまう」をねらい、結果として資産の平均取得単価を引き下げることができるとしています。

バリュー平均法でやっていること

この積み立て金額の変化でやっていることは、マーケットの上下にあわせてリスクにさらす資産の量を調整する=リスク資産と非リスク資産のリバランスに他なりません。安いときはリスク資産の比率を高くし、高いときは逆にリスク資産の比率を下げる=非リスク資産に資産を退避していることになります。

このようにバリュー平均法の実践には、リスク資産の出し入れの受け皿となりうる待機資金プールが不可欠です。この待機資金プールを前提にすると、バリュー平均法による定期的な積み立ては、

日々のキャッシュフローからの待機資金プールへ新規資金を投入し、バリューパスを基準にしてリスク資産と待機資金のリバランスを行う行為の繰り返し

ととらえることができます。

積み立て投資の周期・頻度は、コスト平均法では毎月積み立てていくことが一般的ですが(時間を分散することが目的なので原理的には毎日に分割してもよいはず)、バリュー平均法では、さまざまなバックテストの結果、3か月に1度がよかろうとのことです。市場のオーバーシュート・ミーンリバージョンの周期に理由があるようです。

バリュー平均法の課題

ここまで見てきたところで、バリュー平均法を実践するにあたり、いくつか考慮しなければならない課題があることに気づきます。

  • マーケットが大幅に下落した場合に、許容できる投資金額の範囲内ではバリューパスに追従できないことがある
  • マーケットが継続的に下落する場合、追加投資した分がさらに下落してしまい傷が深くなる
  • マーケットが上昇した場合、売却が発生するため、課税口座では税金を支払う必要がある
  • マーケットが継続的に上昇する場合、リスク資産の比率を下げるため、その先の上昇に対して機会損失となる
  • これらの課題に対応するため、実際に運用するためには、パラメタやルールを主観よる判断により決めて設定する必要がある
  • 金融期間に一度積み立て設定すればあとはほったらかしでよいコスト平均法と比べると、手間がかかる

今後、バリュー平均法をより詳細に分析・検討し、これらの課題への対応方法を含め、資産形成の手段としてどう活用していくのがよいのかを考えていきたいと思います。

バリュー平均法関連情報

最後にバリュー平均法に関する情報をご紹介します。

バリュー平均法の概要を簡単に把握するためには、前出の

が、日本語ということもあり読みやすく、基本もひととおり押さえられるのでよいと思います。

また、岡本さんがバリュー平均法を紹介している記事がWEBで参照できます

実践のための詳細、実践するためには、やはり、提唱者のMichael E. Edelsonの書籍が必須です。理論の背景、課題に対する対応策、様々なアレンジ方法、シミュレーション結果など盛りだくさんです。

以下は、バリュー平均法を実践または紹介されている方のブログです。

ほかにも、Googleで検索すると、英語では大量の記事、資料が見つかることから、海外では日本よりもはるかにメジャーな方法のようです。これらをひもといてみると、実践のノウハウや、実際の結果があったりするかもしれません。今後の調査案件としておきます。

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