先日の、時価総額ウェイトとリバランスの関係でモヤモヤの記事で書いた「モヤモヤ」のポイントが、時価総額ウェイトでもリバランスでもなく、資産をどういう枠組みでとらえるかであることに気づきました。
「アセットアロケーション」と「リバランス」の大前提に「資産クラス(アセットクラス)」があるんだなぁ、という内容の記事です。
写真は、東京都世田谷区にある馬事公苑で行われたホースショーです。スマホで撮った写真のほうがよかった、というのは何ともショックであります…
何に「モヤモヤ」していたのかをふりかえる
先日の
の記事は、とにかくモヤモヤしていただけあって、とりとめのない感じになっていますが、モヤモヤと悩んでいたことを端的にまとめると
- 株式クラス内の配分を、現在の世界の株式時価総額比率を参考に、国内株式:先進国株式:新興国株式=1:8:1にしているけど、今後世界の株式時価総額の比率が変わったら、自分はどうするんだろう?比率の変化についていくべきなのだろうか?
- たとえば、時価総額比率が変化して国内株式や新興国株式が40%になったとしたらどうする?
- それについていくということは高騰して割高なものをさらに買い増すことになるのではないだろうか?
ということでした(あ、全然端的になってない)。
気づきのきっかけ
自分が何についてモヤモヤしているのか、そしてその悩みの本質について気づきを得たきっかけは2つあります。
ひとつめは、先の記事を公開した後に、Twitter上で(勝手に師匠と思っている)先輩インデックス投資家の方々からいただいたコメント。
ふたつめは、インデックス投資家にとっての割安割高基準: NightWalker’s Investment Blogの記事です。
これらで、気づいたというかあらためて意識し考え直したのは、
- アセットアロケーションは何のためにきめるのか
- リバランスは何のために行うのか
ということ。
あらためて「アセットアロケーション」と「リバランス」の目的について考える
うまく伝わらないかもしれませんが、あらためて考えた上での現時点での私の理解は以下の通りです。
「アセットアロケーション」は、自分のリスク許容度、投資に対する考え方を表現する手段であるということ。「自分の資産のリスクへのさらし方として最も心地よいものを具体的に表現したもの」と言い換えてもいいかもしれません。
- これくらいなら投資に回すことができる(精神面を省いた取りうるリスク)
- これくらいまでの損失なら我慢できる=これくらいならリスクをとれる(主に精神面に注目した取りうるリスク)
- これくらいはリスクにさらしていないと上がった時になんか悔しく感じるかも(「儲け損ない」の視点で考えた精神面)
- 自分の勤務先は内需産業だからバランスをとるためには海外の比率を上げておこう(自身の収入環境に適したリスクの取り方)
などなど、個人個人の様々な事情を考慮に入れたうえで、「こうしておくのが一番心地よい」という落としどころを、具体的・最終的に「アセットアロケーション・資産配分」として表現したものという意味です。
心地よい状態を取ることにより「(相場が)上がっても下がってもうれしい」という心境でいることができると考えています。
そして「リバランス」は、運用している過程で、自分のポートフォリオが、自身で「これが一番心地よい」と決めた「アセットアロケーション」から乖離した時にそれを正す行為に過ぎないということ、そして、その目的は自分が心地よい状態に戻すことに過ぎないということ。
自分が最も「心地よい」という感じる比率からズレているということは、その分「心地よくない」状態ということなので、一定量を超えたからには正しましょうということです。
つまり、この「リバランス」による第一の効果は
- 自身のポートフォリオが追っているリスク(と期待リターン)を、自分が最も心地よいと思うものに戻すことができる
ということ。
そして、その過程で副次的な効果として
- 高くなっている資産を売却するなどして減らし、安くなっている資産を買い増すことによる総合的らリターン向上効果(が見込めることがある)
があるということ。
さらに、これらの効果を享受するためには、目標アセットアロケーションは、しっかりと固定するべきもので、時々刻々と変化するようなものではいけないということ。
リスク許容度の変化など、状況の変化に伴う目標アセットアロケーションの変更=リアロケーションがよくない、というわけではありません。
ポイントは「どういう枠組みで資産を管理したいか」だった
ここまで考えてくると、自分のモヤモヤのピントがずれていたことにだんだんと気づいてきます。
「アセットアロケーションをきめて、リバランスで正す」ということの前提に「自分の資産をどういう枠組みで管理・制御するか」ということがあるということ。
そして、これこそが「資産クラス(アセットクラス)」の概念であるということです。
日本では一般的に
- {国内, 日本を除く先進国}x {債券, 株式}の組み合わせ=伝統的4資産
- {国内, 日本を除く先進国, 新興国} x {債券, 株式}の組み合わせ=伝統的6資産
の枠組みで資産を管理・制御することが多いといってよいと思います。
それゆえ、この枠組みを前提とした情報が多く、投資に関する共通言語になっています。たとえば、公的年金基金の運用に関する情報や、インデックス投資家ブログ記事など。
他方、私のように「よくわからないし判断できないから、株式は世界を丸ごと=世界の時価総額比率のまま持とう」と判断した場合は、その真意が、以下の2つのうちどちらかであるはずで、そのことを意識しておく必要があるわけです。
- 日本における伝統的4資産もしくは伝統的6資産で管理することを放棄し「全世界株式クラス」として管理・制御していこうと覚悟を決めた
- 現時点での世界での株式時価総額比率を参考にして比率を固定し、今後は日本における伝統的4資産もしくは伝統的6資産で管理・制御していこうと覚悟を決めた
前者は、「全世界株式クラス」の内訳については自身が制御しない(制御の及ばない)ことを受け入れ、「全世界株式クラス」としての資産の期待リターンやリスクを想定してアセットアロケーションを組むということになります。
もちろん、資産のスナップショットを伝統的6資産の比率でとらえ、豊富な情報をもとにその時点でのリスク・期待リターンを推定することは可能ですが、全世界株式クラスという枠組みで管理・制御していく以上、その統計的推定はその瞬間にしか適用できないものであるということを理解する必要があります。
後者は、現時点でのスナップショットの比率を参考にして比率を決めたに過ぎず、以降はその比率を守るということになります。
より細かく制御したい場合には、セクター別や規模別のアセットクラスを使えばよいということになります。
なるほど、「時価総額ウェイト」とか「リバランス」とか関係なく、自分がどうやって資産を管理・制御したいかに依存しているということがよくわかってきます。
投資商品(investment vehicle)との関係
自分が、どういう枠組みで資産を管理・制御したいかが決まった時点で、投資商品(investment vehicle)との関係を考えるべきであることがわかります。
たとえば、株式クラスは国内株式、先進国株式、新興国株式の枠組みで管理・制御することに決めた場合、その単位で商品を選ぶのが最善です。国内株式、先進国株式、新興国株式の枠組みでいこうと決めたにもかかわらず、全世界をその時点での時価総額ウェイトで持つことにしているバンガード®・トータル・ワールド・ストックETF(ティッカー:VT)を主力にした場合、自分の決めたアセットアロケーションを維持するためにほかのファンドで調整するなど手間がかかります。一つ詳細度のレベルを下げて、国内株式はセクター別で管理・制御したいといったときにTOPIXをベンチマークとするインデックスファンドを使ったときにも同様の問題があります。
逆に、全世界株式クラスとして管理したいときに、国内株式、先進国株式、新興国株式という枠組みのインデックスファンドを使う場合には、全世界株式クラス内の内訳が変わった時に売買を行って合わせこむ必要が出てきます。
このように、自分が管理したい枠組みにあった商品があればそれが一番、そうでない場合は自分でなんとかして調整しなければならないということがわかります。
自分の目標アセットアロケーションにあったバランスファンドがあればそれが一番だけど、目標アセットアロケーションを変更するときには逆に面倒になる、という話に通じるものがありますね。
まとめ
だらだらと書いてきましたが、ポイントは
- 「アセットアロケーション」や「リバランス」について考えるときには、「自分の資産をどういう枠組みで管理・制御していくか」を決めておくべき
- その枠組みとはすなわち「資産クラス(アセットクラス)」である
- 管理・制御の単位になる資産クラスに合わせて投資商品(investment vehicle)を選んだほうが楽
であって、時価総額ウェイトとかリバランスとは直接は関係ありませんでした、ということになります。
私自身は、
- 日本における伝統的4資産もしくは伝統的6資産で管理することを放棄し「全世界株式クラス」として管理・制御していこうと覚悟を決めた
に近い考えなので、それに適した投資方針、商品選択をしていくつもりであります。となるとVTでしょうか…。
ここまできて、ようやく以下の記事の検討課題にとりかかることができそうです。
そういえば、こんなおちゃめなお馬さんもいましたよー