相変わらず、2016年に入ってからマーケットの乱高下・混乱がおさまる気配がありません。
私も含め、相場が好調なときに投資をはじめた方は、もれなく含み損状態になっているのではないでしょうか(私も盛大に含み損になっております)。
もしかしたら、
- 「あぁ、投資なんてしなければよかった」
- 「銀行口座に置いておけば減らなかったのに」
と自分を責めたくなる気持ちになっているかたもいらっしゃるかと思います。
実は、私も2006年に、はじめて投資するようになったときにこのような状態でした。でも今回は(いまのところは)大丈夫で、特に混乱もせず通常の生活をおくることができています。
この記事では、2006年当時とは異なり、なんで今回はいまのところ大丈夫なのかについてふりかえってみたいと思います。また、それを受けて、今一度確認すべきことについて考えてみます。
まぁ、今回の下落は、よくあるレベルの下落(年率で1σ程度?)なので、「たいしたことないじゃん」といわれてしまう程度のものかもしれませんが。
なぜ、今回は(いまのところ)心が乱れていないのか
今回、心が乱れていないのは
- 十分な金額を無リスク資産で確保している
- 余裕資金=今すぐ使う必要のない資金を、期待リターンがプラスと見込める場所に置いている
- 個別集中ではなく世界に広く分散して投資している
- あらかじめ、リスク資産のリスクを把握し、納得してアセットアロケーションを設計・計画している
- ここまでなら大丈夫かな?というところから少し余裕をもたせた(=リスクを押えた)アセットアロケーションにしている
- 上記を含めて納得感を持って投資している
- 通算評価損益が直感的に理解できない状態になっている
あたりが効いているような気がします。
最後の「評価損益が直感的に理解できない状態になっている」については、説明が必要なので、のちほどすこし掘り下げてみます。
2006年当時は、生活防衛資金や、リスク、アセットアロケーションといった概念を全く持たずに、住宅ローンを抱えつつ、当時の貯金の80%以上を、国内の個別株式3銘柄程度に集中投資していたことを思えば、10年でだいぶ成長したものです。
当時が、あまりにも向こう見ずだっただけかもしれません…。
そのような経験を経て、インデックス投資を行っている今、バンガードCEOからの
ポートフォリオが広く分散されていて、投資の目的、時間軸、リスク許容度(risk comfort level)の点でバランスがとれている限り、「なにもしない」が賢い選択
というアドバイスの意味とありがたみを身をもって実感しています。
不安な場合確認すべきこと
急落相場をうけ不安を感じる場合には、今一度原点に立ち戻って、このバンガードCEOのアドバイスにあるポイントを見直してみるのがよいのではないでしょうか。
すなわち、自分のポートフォリオについて
- 広く分散されているか
- 投資の目的、時間軸、リスク許容度(risk comfort level)の点でバランスがとれているか
を再点検してみるわけです。
これは、相場つきにかかわらず常に気にしておくべきことではありますが、気づいたときが吉日。
これらがNoならば、今からでも遅くないので、リスク許容度の再検討、アセットアロケーションの組みかえ(リアロケーション)など、無理せずに一度スタートに戻ってみたほうがよいかもしれません。
Yesならば、自信をもって、淡々と積み立てを継続して、今のうちに口数を増すことに集中すればよいはずです。
それでもなお不安ならば
それでもなお「いや、でもやっぱり不安」ということであれば
売らずに我慢するテクニック – 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)といった、先人の知恵を活用するのもよいかと思います。。
私の場合、国際競争の激しい業界で働いていることもあり、特に「構成銘柄企業群に思いを馳せよ」がお気に入りです。
日々しのぎを削って競争している(というより、ケチョンケチョンにやられている!?)、世界のスーパーカンパニーや、アイデア・若さに満ち溢れた会社に投資していることを思いだすだけで気持ちよくなります。
また、初心に戻る、というか、「投資をしよう」「投資をしなくては・資産形成しなくては」と思いたったキッカケになった本や記事を読み直して、当時の気持ちに再び触れるというのも、納得感を取り戻す効果が大きいと思います。
とはいっても買値からのマイナス、気になりますよね?
証券口座にログインして、まずはじめに、なにが目にとびこんでくるでしょうか?
評価損益(元本と現在の評価額の差)という方が多いのではないでしょうか。
UI上も緑字、赤字で大きく強調表示されますから、どうしても目がそちらにいってしまいます。
これがプラスのうちはうれしいのですが、マイナスになり、しかも、その額が日に日に大きくなっていくと苦しくなります。わかっていても気分のいいものではありません。
また、「買値にこだわるな」「買値にこだわって後悔してもあまり意味がない(だって過去のことだし、しようがないじゃない)」というアドバイスをよく見かけます。
投資家にとって必要なことは、現在の状況、つまり現在の資産価格を前提に、自分の財産(ポートフォリオ)の状態を最適に保ち続けることだけだ。これは、数百万円の個人投資でも、数十兆円の年金資産でも変わらない。
そういわれても、頭では理解しているつもりであっても、むずかしい。投資をはじめたばかりならなおさらです。
でも、やはり「買値にこだわる」から脱却すると楽になるというのは本当だと思います。
私の場合、ある程度経験を積んだということもありますが、以下のようなことが重なって、強制的に「買値にこだわれない」「通算評価損益が直感的に理解できない」状態になったこともあり、そのことを実感しています。
- インデックス投資をはじめて、過去の個別銘柄、持ち株会株式を処分した
- 2015年12月に一度、保有するすべてのファンドを売却→買い直し(リレー投資)した
すでに確定した損益があるので、表示される現在の評価損益を見ても、一目ではその価値はわからないし、いろいろな見方ができるので気持ちに響かないのです。
損益を考える場合に、過去と通算するのかしないのか、通算するなら起点はどこか、などなどいろいろ前提が必要になるので面倒になってしまう。
買値にこだわらないようにするためのちょっとした工夫
これらの経験から、買値にこだわらない=今の損益に敏感になりすぎないようにするための、すぐにできそうな工夫を考えてみました。
- 買値を入力しないですむツールでポートフォリオ管理する
- 証券口座の設定で損益表示しないようにする
- リレー投資や口座分割してパット見で損益が見えないようにする
「買値を入力しないですむツールでポートフォリオ管理」は、Yahooファイナンスやモーニングスターなどのツールでポートフォリオ管理する方法です。保有銘柄と、保有数だけ入力し、購入単価は入力しないのがポイントです。そうすることにより評価額は把握できますが、評価損益は表示されず、目にしなくてすみます。
証券会社によっては、ログイン時に「証券口座の設定で損益表示しないようにする」という設定が可能です。楽天証券にこの機能があることを知って「なるほどな」と感心した覚えがあります。
「リレー投資」や「口座分割」は税コストがかかったり、管理の手間がかかったりするので、このためだけにすることはないと思いますが、もし機会があれば活用しない手はありません。
いずれも小手先のテクニックですが、損益が気になって仕方ない場合は試してみる価値があると思います。
もちろん、「積立設定だけしてあとは忘れる=超ほったらかし投資」も有効だと思います。その場合はリバランス不要なバランスファンドが便利ですね。
おわりに
インデックス投資で本格的な暴落相場を未だ経験していないにもかかわらず偉そうなことを書いてしまいました。
今回の下落は、少しペースが速いとはいえ、下落幅でみれば1σ程度の「よくある調整」でしょうし、これくらいで何を言っているんだと思われる方も多いかと思います。
とはいえ、長い間右肩上がりの相場が続いていたので、自分の投資を見直すにはよい機会に違いありません。
私も、この機会を逆に活用して、近い将来に来るであろう、本格的な「暴落」に耐えられるよう、心の準備と、納得感を持った投資を継続していけるようにしていきたいと思います。
最後に特に関連する記事をご紹介します。