三菱UFJ投信のeMAXISシリーズに国内物価連動国債インデックス商品が設定されることをきっかっけに、ブログ、Twitter上で物価連動国債についての情報交換・議論が活発に行なわれています。
私も、投資方針書に記載した通り、インフレへの備えとして物価連動国債に興味を持っていたので、大変勉強になっています。
おかげさまで、物価連動国債について、いろいろ情報が集まり、理解が深まってきました。個人投資家にとって物価連動国債はインフレ対策として適切なinvestment vehicleなのだろうか?という点について、考えてみます。
物価連動国債について
物価連動国債についての議論・考察については、すでに多くの信頼できるインデックス投資ブロガーのみなさんが記事にまとめられています。現時点で入手できる情報は、これら(およびこれらからリンクされている情報)で、ほぼ網羅・整理できているといってよさそうです。
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また、個人投資家、一般生活者にとって、株式と比較して、直感的に理解しにくい債券について大変勉強になるページを教えていただいたのも今回の大きな収穫です。
私の認識と感想
現時点での私自身の認識と率直な感想は
- 「物価が上った分だけプラスになる」わけではなく、正確には「マーケットの予想物価上昇率コンセンサスから上振れした分だけプラスになる」。逆に物価が下がればその分マイナスになる。
- フロアつきは元本保証ではない(保証されているのは額面金額以上での償還だが、購入時に額面金額で購入できるわけではない)。
- 物価連動国債はとにかくややこしい。複雑で、プラスになるためには多くの仮定が必要。
- 国内債券クラスへの一番の期待は低リスク(低ボラティリティ)であるにもかかわらず、変動が大きい。
- 個人向け国債(変動10年)の有利さを再認識。
です。
個人投資家にとって物価連動国債はインフレ対策として適切なinvestment vehicleなのだろうか?という点について、考えて直してみる必要がありそうです。
そもそも、私が、物価連動国債に興味を持つようになったのは、日本政府としては、財政状況から「暴動が起こらない範囲で、金利は抑えつつ、インフレに誘導する」の状態が一番心地よいだろうなーという漠然とした考えからです。
この思惑をそのまま政策に反映し、想定通りに働いた場合、金利は上がらず、物価だけが上がり、個人向け国債変動10年や銀行預金で保持している資産の実質価値が目減りすることになります。
インフレは、ハイパーインフレ、正常レベルのインフレと二種類を想定するのがよいようですが、前者については外貨で資産を持っていれば十分な備えになりますし、後者については、株式クラス(REITや金などでも大丈夫かもしれません)で対応できるとされています。
なぜか国内債券クラスの資産でインフレに備えることばかり考えてしまっていましたが、それはあまり適切ではないようです。
私の目標アセットアロケーションでは、外貨比率、株式比率が十分高く、あえてここに複雑で多くの仮定が必要な物価連動国債をとりいれなくても、インフレへの備えは十分と考えてよさそうです。投資方針で「複雑で自分が理解できないもの、多くの仮定が必要なものには近づかない」と決めていることもありますし(参考記:投資方針書 2014年10月)
当面の間は
- インフレには、外貨資産、株式クラス資産で備える
- 物価連動国債については、当面の間、状況をウォッチするにとどめる。次の注目ポイントは個人が所有できるようになる物価連動国債の商品性。
- 国内債券クラスは、個人向け国債変動10年および銀行預金で保持する
- おためしで保有することにしていたMHAM物価連動国債ファンドの積み立ては凍結する
として、引き続き状況をウォッチしていくこととします。
追記
私の場合、現在のところは国内債券クラスの比率が少ない積極的なアセットアロケーションなので、上記のような結論になっていますが、資産形成フェーズが進み国内債券比率を増やすことになった場合には、国内債券クラス自体でインフレ対策をする必要があると考えています。
その場合には、物価連動国債はとても有力なinvestment vehicleになるはずです。分散効果を期待して個人向け国債をはじめとする名目金利債券と、物価連動国債を分割して保有するのがいいかもしれません。