前回の毎日積立と月に一度積立を比較してみました(ドルコスト平均法)に引き続き、ドルコスト平均法の気になる部分を調べてみます。
今回は、ドルコスト平均法を基本としつつ、いつ買うかのタイミングには自由度を持たせる積み立て方法について考えてみます。
この積み立て方法、公式化・意識してない方も含めると、かなりメジャーな方法といえるかもしれません。
この方法の実践方法は、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーの水瀬ケンイチ(@minasek)さんの、ちょっと投資心をくすぐるドルコスト平均法の記事がわかりやすいです。
この方法を実践されている方の多くが、常々「リターン向上を目指しているわけではない」、「リターン向上にはそれほど影響がない」旨、発信し注意喚起されていますのでご注意願います。
私も毎日積立と月に一度積立を比較してみました(ドルコスト平均法)の検証を通して、長期にわたる積み立て投資では、投資実行タイミングはそれほど重要ではないということを実感しました。
また、「リターン向上を目指しているわけではない・リターン向上にはそれほど影響がない」ことも、シミュレーション上ではありますが実体験し理解しました。
とはいえ、両極端のケースで、実際のところどれくらい結果に差が出るのかは気になるところですし、可能であれば把握しておくにこしたことはありません。
そこで「もし相場の神様がドルコスト平均法で積み立てしたら」と仮定し、期間内の最良のタイミング、および最悪のタイミングでの積み立てを繰り返した場合に、どの程度差が出るのかをシミュレーションでみてみます。
検証方法
検証対象データは毎日積立と月に一度積立を比較してみました(ドルコスト平均法)と同様に、上場インデックスファンド海外先進国株式 FUND DATAの日次データのリンクより取得できるデータに含まれるMSCI KOKUSAI(円換算・price)の日次データとします。
MSCIのインデックスの構造(price, net, grossなど)については、時価総額別のリスクの分析―等金額ウェイトインデックスに向けての記事に説明があります。
集計期間も同じく2010/1/14から2014/9/1までのおよそ4年8か月です。
ドルコスト平均法にもとづき、「20日おきに1万円ずつ積み立て」を行った場合の平均購入単価の遷移と、最終時点でのリターンを確認します。買い付けは、各期間の最終日に、期間中の最良(最低)単価、中間単価、平均単価、最悪(最高)単価で行うこととします。期間最終日でなく、実際にその価格となった日に買い付けするとするのが最も正確ですが、計算の手間を低減するためあえて最終日としています。
検証結果
平均購入単価の遷移は以下のグラフのようになりました。単価は、開始時が100となるよう正規化しています。重複してみにくくなるため期間中の平均単価で買い付けたケースは省略しています。
最終時点でのリターンは以下の表のとおりです。
まとめ
中間単価、平均単価、および、毎日積立はほとんど差が出ません。これはある程度、事前に予想していた結果です。
最良(最低)単価と最悪(最高)単価のリターンは、この中間のリターンを基準としておよそ±6%の範囲に収まっています。
ある一つのインデックスを対象としたシミュレーション結果ではありますが、4年8ヶ月の積み立て投資で、最高にうまくいった場合と、最高にダメダメだった場合とで、付いた差が12%程度ということです。
この±6%、最大で12%の差という値をどう評価するかは判断の分かれるところだと思いますが、自分としては意外に小さいなと感じます。
よく言われる「長期投資の成績にもっとも影響があるのはアセットアロケーションで、タイミングや銘柄選定はさほど重要ではない」をサポートする内容であるとも考えます。
今回の検証で、積み立て投資の範囲内でのタイミング投資は、リターン向上ではなく、自分の裁量を入れているという手ごたえを感じられるようにするため、あるいは、退屈防止、市場環境への感度を高くキープすることなどを目的として、長期にわたる資産形成の過程を楽しむためのスパイスとしてとらえるのがよかろう、ということが理解できました。
みなさんはこの差をどうとらえられますか?
コメント
検証おつかれ様でした。
一ヶ月の振れ幅が上下6%の真ん中ということでもワタシには充分に毎日積立を行う意義があると思いました。
まさに自分が気になるのはその振れ幅で、その真ん中を辿るというのは、市場平均を辿るので良しとするインデックス投資の根幹の思想かなと。
惜しむらくは、たかが僅かな振れ幅を気にしてるだけなのに毎日積立を自慢してたちっちゃい奴という後ろ指さされながら生きて行く事になったことでしょうか(笑)
今後ともよろしくお願い致します。