毎日積立と月に一度積立を比較してみました(ドルコスト平均法)

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カブドットコム証券マネックス証券の投信積立サービスを利用すると、「毎日積立」が実現できます。実際にインデックス投資ブロガーのなかでもこのサービスを活用して毎日積立を実践されている方もいらっしゃるようです

例えば、資産形成は時の流れにまかせて。の、いっさん(@tigers_mr2)さん。ほかにもいらっしゃるかもしれません。

究極のドルコスト平均法ともいえる毎日積立と、最も一般的である月に一度の積立で、どのような差が出るのか気になったので簡単にしらべてみました。

実際には、先日Twitter上で、毎日積立ってどうなんだろう?と話題になり、たしかに気になる、ということでこのたびようやく調べるに至りました。

検証方法

検証対象データはMSCI-KOKUSAI(円換算・price)の日次データを利用します。

MSCIからUSDベースのインデックスデータ、三菱東京UFJ銀行から為替データをダウンロードして、日本籍ファンドの価額計算ルール(たとえば基準価額決定、約定確認のタイミングは? | 投資信託 | 楽天証券に説明があります)に基づき自分で計算することもできるのですが、国内ETF-上場インデックスファンド海外先進国株式(1680)の基準価額時系列データのなかで、すでに計算済みのデータが公開されているので流用させていただくことにします。上場インデックスファンド海外先進国株式 FUND DATAの日次データのリンクより取得可能です。

実は、MSCI-KOKUSAIであれば、日本向けのインデックスということもありMSCIが円ベースのデータを公表しているので、MSCIからCurrency=Localでデータを取得すると換算不要のはずですが、為替などが日本籍ファンドのルールと同一かどうかなど細かい点で確認が必要です。

MSCIのインデックスの構造(price, net, grossなど)については、時価総額別のリスクの分析―等金額ウェイトインデックスに向けての記事に説明があります。

集計期間は2010/1/14から2014/9/1までのおよそ4年8か月です。

ドルコスト平均法にもとづき、「毎日500円ずつ積み立て」および「20日おきに1万円ずつ積み立て」を行った場合の平均購入単価の遷移と、最終時点でのリターンを確認します。買い付けは各期間の最終日に行うものとします。

検証結果

平均購入単価の遷移は以下のグラフのようになりました。単価は、開始時が100となるよう正規化しています。

毎日積立:平均購入単価の遷移

最終時点でのリターンは以下の表のとおりです。こちらは参考として、60日おきに3万円積立のケースも合わせて記載しています。

毎日積立:リターン比較

まとめ

グラフでは、買付時の価格がそのまま平均購入単価になる積み立て開始直後こそ差が見えますが、一定期間が経過すると、平均購入単価の変化はほとんど変わらなくなります。すくなくとも、このスケールのグラフでは、差が目視でほとんど確認できません。

最終時点でのリターンでは、毎日積立と、1か月(20日)おき積立とで0.8%程度の差となっています。3ヶ月(60日)おき積立ではリターンの差が3%ほどになっています。

今回の結果では、積み立て周期が長くなるほどリターンが悪化していることが確認できます。これは、MSCI-KOKUSAIが期間の終盤で継続的に上昇しており、今回の場合は、周期を長くすることが結果として、機会損失(儲け損ない)になったと考えるのが妥当でしょう。

逆に継続的に下落し続けていれば、周期が長いほど、損失回避となりリターンは向上する結果になるはずです。

このあたり、まさに山崎元さんがドルコスト平均法について整理する

「将来は不確実でリスクがあるとしても、リターンは有利だと思って投資する」という理由で投資するのだから、その時点時点で、投資家が自分にとって最適だと思う金額を投資している状態が意志決定としてはベストなのであり、ドルコスト平均法によって、この状態の達成が遅れるなら、その間の投資金額不足は、機会損失として理解すべきだ。

もちろん、その間、当初の平均的な予想と異なって、株価や基準価額などが大幅に下落することはあり得るが、それは、結果論であって、意思決定の正しい評価法ではない。

ドルコスト平均法が、『有利』な方法なのではない

身も蓋もない言い方で恐縮だが、ドルコスト平均法は「平均買いコスト」に投資家の視点を集中させることで、投資対象が値下がりした時の「気休め」をあらかじめ提供している投資方法なのだ。

山崎元「ホンネの投資教室」 第180回 ドルコスト平均法について整理する より

と指摘されている通りの結果で、「ドルコスト平均法は有利でも不利でもない」、「気休めである」ということを今回の検証でも再確認したことになります。

ただ、自分は、資産形成を成功させるための最大のポイントは、投資を長く継続することにあり、そのためには、メンタルへの負担をできるだけ少なくすることが重要であると考えています。

その点、究極のドルコスト平均法である毎日積立はメンタルへの負担を軽減させる方向なので、ドルコスト平均法で積み立てを行っていて、毎日積立サービスが利用可能であれば利用するのも悪くないと考えます。

あえて言うなら、実践上のわずらわしさ(設定や、金額変更に手間かかる、約定メールが毎日届くなど)が若干増えるはずで、その点でのトレードオフは一度確認したほうがよいでしょう。

いずれにしろ、山崎元さんのドルコスト平均法について整理するは必読です。

現在のところ、個人的には

  • まとまった投資に回せる資産がある場合は、一度にまとめて投資するのも、不必要に時間をかけて分割して投資するのも避けるべき。金額にもよるがおおよそ1年くらいかけて投資するくらいがちょうどよかろう。これには投資を長期間継続するための「気休め」として多大な効果が期待できる。
  • まとまった資産を投資した後は、日々の生計から資産を投資にまわすことを継続するフェーズになるので、ドルコスト平均法、あるいは、投資方針書 2014年10月でふれたような、ノーセルリバランスを併用した定期的な積み立てを淡々と繰り返す。つまり、定期的に発生するキャッシュフローを投資にまわすことになるので必然的に定期的な積み立てにならざるをえない。

がベストプラクティスかな?と考えています。

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