国内ETF-1306の分配金が出ました:分配金について考える

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6月に購入した国内ETF、TOPIX連動型上場投資信託(1306)の分配金のお知らせが郵便で(郵便で!)とどきました。

1306分配金

金額を見たときの率直な印象は「お、結構あるなぁ」です。利回りを決算日(2014/07/10)の基準価額で計算すると、税引き前で約1.61%、税引き後で1.28%です。

ちょうどいい機会なので、あらためて分配金についての自分の認識を整理してみました。

長期投資における分配金の弊害

分配金は、以下の理由により、長期投資にとってはあまりありがたくない存在です。

  • 分配金に対して課税されてしまう(現在の税制で20.315%)
  • 複利効果を得るためには、自分であらためて再投資しなければならない
  • 購入手数料ありの商品(ETFなど)に再投資する場合は、購入手数料が発生する
  • 最低購入単位の関係で(特にETFでは)分配金の金額をそのまま再投資するのが難しい

特別分配金(元本払戻金)は非課税になります。分配金が課税対象の普通分配金に相当するか、非課税対象の特別分配金になるかは、各投資家の個別元本と、分配後の基準価額、分配金の額で決まるようです。

ニッセイアセットマネジメント:「普通分配金」「元本払戻金(特別分配金)」って何?で計算方法などがわかりやすく解説されていました。

「分配金再投資コース」の投資信託の場合、自動的に再投資が実行されるため、課税以外はクリアできます。「分配金再投資コース」は、「分配金を自動的に再投資する」という仕組みなので税金はしっかりとられます。

投資信託の場合、スポット購入でもきわめて少額から投資信託を購入できる金融機関もあるので、ETFの分配金は同アセットクラスの投資信託に再投資するという方法も有効そうです。

たとえばカブドットコム証券では、多くの投資信託が500円からスポット購入可能。あまり大々的にはプロモーションされてないようですが。

分配金が出ない場合は、その分が基準価額に蓄積されているだけなので、最終的に換金するときにキャピタルゲインに対する税金として課税されることは頭の片隅に置いておく必要があります(課税口座の場合)。

非課税口座と分配金

NISA口座・確定拠出年金口座での分配金には税金がかかりません。そのため、気にする必要があるのは、手数料と再投資の手間の問題です。

自分で再投資するとき再びNISA口座で購入すると非課税枠を消費してしまいます。分配なしで資産として蓄積してくれていればこの非課税枠は別で使うことができます。

NISA口座で保有している分配金再投資コース投資信託の再投資については、証券会社により扱いが異なるケースがあるようで注意が必要です。NISAの投資枠に余りがある場合はNISA口座で再投資に回される証券会社が多いようですが、再投資は常に(NISAの残り投資枠にかかわらず)課税口座(特定口座または一般口座)になる証券会社もあるようです。たとえば、SBI証券がこのケースのようです。

NISA口座でお買付けいただいた投資信託で、分配金の再投資コースをお選びの場合、分配金はNISA口座では再投資されず、特定口座または一般口座にて再投資されます。
SBI証券:NISA口座でのお取引のご注意事項より

バリュー平均法と分配金

バリュー平均法的な考え方では、直近のリターン実績を参考にして投資金額を調整=投資タイミングを調整し、待機資金用プールも用意します。そのため、再投資の額とタイミングを自分で調整できるという意味では、分配金再投資の手間自体はそれほど迷惑なものではありません。

それよりも気になるのは、分配金が出るファンドでの期待リターンの考え方や、直近リターンの計算方法です。

市場でいつでも自由に売買できるETFの場合、市場価格は分配金を織り込んで変動し続けています。市場価格は、分配金権利落ち日を迎えると分配金分だけ下落し、また次の権利確定日に向けて徐々に上がっていくことになります。

権利落ち日をまたいだ二つの市場価格をもとに単純にリターンを計算してしまうと、これらの分配金分の変動が無視されることになり、正確性を欠いてしまいます。

投資信託の場合も、分配金が出た場合、価値=基準価額がその分変化するので事情としては同様ですが、価格が基準価額の一つだけなので多少わかりやすいはずです。ETFも日々の基準価額は発表されていますが、大抵の投資家にとっては価値=市場価格なので余計にややこしくなります。

いずれにしろ、ベンチマーク指数の性格(配当込みなのか、配当抜きなのか、課税前なのか後なのか)や、当該商品の分配金とベンチマーク指数の関係などを総合的に判断する必要がありそうです。

また、分配金からは少し話がそれてしまいますが、厳密には、外貨建ての資産を円換算してリターン実績を評価することの是非についても考える必要があります。もっとも、世界に分散しているインデックスの場合、どこかで必ず、一度、各国通貨から基準通貨への換算が入っているので、そんなに神経質になる必要はないのかもしれませんが…。

これらについて、まだ自分なりの解を持っていませんが、次回の投資タイミングまでには整理しておきたいです。

分配金なしのファンドは無理なのか?

Twitterにてインデックス投資ブロガーの皆さんからいろいろ教えていただいたので、自分なりに理解した内容を別記事にまとめました。

分配金なしの投資信託はちょっと無理そうです

どの投資信託も、目論見書には分配金方針が記載されていて、たいてい「収益の分配を行います」といった感じの文言になっています。目論見書上は「分配を行います」としているものの、委託会社(運用会社)の裁量で決定できるので、実績として分配なし、もしくは少額に抑えているものもあるようです。これまでの実績から、これまでの分配に対するポリシーはうかがい知ることはできますが、目論見書で「分配を行います」としている以上、将来を保証するものではありません。

ご参考:梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー:ETFは分配金を出すけど、インデックスファンドは無分配?

販売側にとっての分配金のメリットを把握できていないので、外しているかもしれないですが、無分配宣言のインデックス型投資信託の商品企画とかだめでしょうか?

「無分配宣言!長期投資・コツコツ派を応援します!」みたいな感じで。

分配金のデメリットをつらつらと説明しないといけない=売れ筋らしい毎月分配型商品との兼ね合いでダブルスタンダードになり難しいのかもしれませんが…。

ETFは上場投資信託の要件として、税法上、費用を控除した収益は全額分配しなければいけないと規定されているようなので、無分配宣言は現状無理そうです。

ETFは、決算期間中に受け取った配当や利息などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を投資家に分配することが法律で定められています。

なお、一般の投資信託では、分配対象額の範囲は、繰越分を含めた利子、配当収入と売買益(評価益を含む。)等の全額で、分配金額は、委託会社が基準価額の水準等を勘案して決定します。つまり、委託会社がいくらを分配するかを決定するわけです。ETFでは、どのファンドにおいても配当、受取利息その他これらに類する収益の額の合計額から支払利子、信託報酬その他これらに類する費用の額の合計額を控除した額の全額と決まっていますので、委託会社の裁量の余地はなく、この点が、ETFと一般の投資信託の分配金の大きな違いと言えます。

マネーライフ:ETFの分配金より

ただ、ETFも組成・運用方法によっては配当などの収益が発生しない傾向=分配金が発生しない傾向のものもあるそうです。具体的には先物商品運用が中心の日興AMの一部ETFでは分配金が抑制される方向の性質を持っているようです(ご参考:国内ETFの実質コスト比較)。

それにしても…、ETFでは分配金のお知らせを郵送で送ることも何かで決められているのですかね?コスト意識が高い組織なら真っ先に見直し対象になりそうなものですけど。この郵送にかかったコストは、「その他の費用」に計上されているわけですから・・・。

米国のようにトータルエクスペンスレシオを公表するようにして、この値を比較・競争をするようになれば事情も変わってくるんじゃないかなーと期待しています。

追記

2014/08/19 「分配なしファンドは無理なのか?」の続き

Twitterにてインデックス投資ブロガーの皆さんからいろいろ教えていただいたので、自分なりに理解した内容を別記事にまとめました。

分配金なしの投資信託はちょっと無理そうです

2014/08/18 特別分配金(元本払戻金)について修正しました

初出時、特別分配金(元本払戻金)と、いわゆる「タコ足分配」を同一視してしまっていましたので修正しました。特別分配金(元本払戻金)の定義から、特別分配金(元本払戻金)が必ずしも「タコ足配当」ではないケースもありえるようです。

ニッセイアセットマネジメント:「普通分配金」「元本払戻金(特別分配金)」って何?で定義や計算方法などがわかりやすく解説されています。

以下、私なりに理解した内容です。

ある投資家が、すごく高いときに購入→大幅に下落し、基準価額が購入価格(個別元本)を下回る→この状態で収益が発生し分配金を受け取る、というケースでは、この投資家にとっては、この分配金は特別分配金(元本払戻金)となり非課税対象になります。

同じ投資信託を、ある別の投資家が、大底で購入→少し回復して基準価額が購入価格(個別元本)を上回る→この状態で分配金を受け取る(かんたんの為、分配後の基準価額も個別元本も上回っているとする)、というケースでは、この投資家にとっては、同じ分配金であっても普通分配金となり課税対象になります。

2014/08/18 パーマリンクを変えました

あぁ、「いつかやる、いつかやる」と恐れていたことをついにやってしまいました。パーマリンク(valavg.comの後ろ)のスペルミス。分配金は正しくはdividendです。初出時はdevidendになってましたorz。

今修正してしまうといろいろ波及効果がありそうですが、後学のために正:dividendに修正して、誤:devidendからは正:dividendに301リダイレクトさせてみます。

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