いまのスマートフォンを購入してから2年が経過しました。
使っていた端末はauのXPERIA Z3(SOL26)で、性能自体には大きな不満はないものの、このまま利用を継続すると、月々の利用料の優遇・割引がなくなることで、今後の通信料が割高になってしまいます。
賢く節約せねばとしばらく前からいろいろ調査・準備を進めてきて、本日無事契約を済ませることができました。我ながらかなりの節約になったと思っています。
この記事では、私の場合の節約術をご紹介いたします。利用状況によりベストな方法は変わるものですが、エッセンスだけでも参考になれば幸いです。
我が家の利用状況
私と妻の2台揃っての変更が前提で、変更前のauの端末も同じ日に一緒に購入したものです。
利用状況は
- 通話は、発信も着信もあまり多くなく、お互いの両親(発着信)と、宿の予約や問い合わせ(発信)程度。
- お互いの両親はドコモの長期ユーザーで家族割グループになっている。以前我々夫婦もドコモで同じグループに入っていたがauに移った時に抜けた
- モバイルデータ通信は、それぞれ月間2GB~3GB程度
- 自宅では固定インターネット回線「auひかり」を使用
- テザリングはたまに利用する
といった感じで、今後しばらくは変わらない見込みです。夫婦+就学前の子どもの家庭にはよくあるケースなのではないでしょうか。
以下のような料金で利用してきました(1台あたり)。
いろいろ割引が盛りだくさんでかなり安く上がっています。
端末は一括払いで購入していますが、そのときも下取りで割引や、au Walletポイントで一部還元など各種優遇があり1台当たり5万円程度だった記憶があります。
この料金水準で使い続けられればいいのですが、当然そうはいきません。契約から2年が経過したことを契機に、以下の割引がなくなります(1台あたり)
- 基本使用料割引 934円(税別)
- テザリングオプション使用料割引 500円(税別)
- 毎月割 3,015円(税込)
- スマートバリューの2年限定分 500円(税別)
月額で、1台当たり5103円程度上がることになり、2台だと月額1万円以上!これは痛い。
今の端末をau回線のMVNOで継続利用という方法も考えたのですが、au回線のMVNOの場合、どこも3Gデータ通信ができないので、この方法は選択できませんでした。スキーや山登りをすることが多く、そういった場所ではau のLTEがつながらないことが多いことを経験してきているからです。
節約の大方針
この利用状況と、昨今の端末およびキャリア、MVNOの状況を踏まえ、
3G+4Gのデュアルスタンバイ(同時待ち受け)ができるDSDS(Dual Sim Dual Standby)対応端末を活用し、通話とデータ通信のSIM/契約を分離する
を大方針として検討することにしました。
その狙いは
- 通話はドコモのキャリア契約にして長期間使い続ける→家族間無料通話や、豊富な料金プランの恩恵を享受できる
- データ通信は契約の縛りが少ない状態になるので、状況にあわせて柔軟に変更することが可能になる
にあります。
MVNOでも通話機能を付けると、契約の縛り(解約時違約金)がつくなどフットワークが悪くなります。また、通話機能の追加料金水準が700円程度とキャリアの3G契約とくらべて大幅に安くないという事情を鑑みての方針です。
この考え方自体は、特に真新しいものではなく、以前からフィーチャーフォン(ガラケー)+スマホの2台持ちで多く実践されてきているものです。
しかし、私自身、2台持ちに挑戦したことがあるもののうまくいきませんでした、。通話用のフィーチャーフォン(ガラケー)を持ち歩かなかったり、バッテリー切れのまま放置していたりしていて、各方面からクレームが入り断念したという過去があります。
ところが、2つのSIMで同時待ち受けができるDSDS対応端末を使うと、1台のスマートフォンでこの2台持ちと同じことができるのです。
DSDS端末も、海外では結構前から活用されていたものの、2G+4Gの組み合わせしか対応できないがゆえに、すでに3G以降に完全移行している日本では無用の長物でした。しかし、ここにきてクアルコムのSoC(LSI)が3G+4Gの組み合わせをサポートしたことにより、日本でも着目を集め始めたという背景があります。
そのほかの要件の整理
この大方針のもと、具体的な選択をしていくことになるのですが、そのさいの判断基準となる主な希望(要件)を整理しました。たとえば以下のような事項です。
- データ通信
- ドコモ回線が利用できるMVNO。都市部だけでなく山間部・山奥でも通信ができること←この点で、3Gデータ通信ができないau系のMVNOは選択できない。
- 最安値にはこだわらず、サービスレベル、永続性、今後の競争についていけそうなところなど総合的に判断
- 解約時の違約金がかからないところ
- 端末
- 安いに越したことはないけどあまりケチケチしない。毎日、しかも長い時間使うものなので、使うたびに「あぁ、別のにしておけばよかった」といった後悔がでないもの。
- カメラ性能は重視。
- 対応バンドはドコモの主要な周波数帯をカバーしていること(3GはFOMAプラス、LTEはiPhoneレベル)
端末についてはASUSのZenFone3シリーズや、SONY XPERIA X, XZ(グローバルモデル)などが候補になります。ZenFone3の場合、日本の電器量販店で購入できるので安心だと思います。
我が家の選択
以上の方針と要件をもとに我が家は以下のような選択になりました。
- 端末は、DSDS対応の、とあるAndroidのミドルハイーハイレンジの端末
- データ通信はBIC SIM(ビックカメラが取り扱うiijmio)のファミリーシェアプランデータ通信専用SIM(10GBを複数SIMでシェアできて月額2,560円(税別))
- SIMはドコモ回線 x 2, au回線 x 1を選択
- 通話用のドコモ契約はFOMAフィーチャーフォン(ガラケー)にMNP
- 端末:N-01G
- 料金プラン:タイプSS バリュー(月額使用料934円(税別)、無料通話1,000円、3,000円まで繰り越し、20円/30秒(税別))
- データ通信(i-mode)なし
以下でそれぞれの判断理由をご紹介します。
端末
DSDS対応で、ドコモの主要な周波数帯をカバーしていて、カメラが良くて…と条件を付けていくとおのずとミドルハイーハイのクラスに絞られていきます。あとは価格との折り合い&好みではないでしょうか。
データ通信
BIC SIMにしたのは、実績と評判のいいiijmioにビックカメラの独自特典(無料WiFi, 契約手数料1円)が加わっていてお得だった点。
ファミリーシェアプランにしたのは、容量、SIM枚数、料金が我が家の利用状況にマッチしていたためです。基本料金にはSIM3枚が含まれています。申し込み時にはじめて気が付いたのですが、ドコモ回線と、au回線の混在ができるのです。
ドコモ回線 x 2, au回線 x 1にして、普段はドコモ回線でデータ通信しつつ、au回線のSIMはモバイルルーターにいれて、ドコモの電波が届かない場所でau回線をルーター経由で使うといった工夫もできそうです。以前のムサコ会の会場や、FOY2015の表彰式会場では、ドコモの電波はダメだったけどauは何の問題もなかったんですよね。
通話用のドコモ契約
通話用のドコモ契約は結構悩んだのですが、我が家の利用状況を踏まえて最安になるパターンを選択しました。
- 端末価格一括0円
- 月額使用料934円(税別)、無料通話1,000円、3000円まで繰り越し、20円/30秒(税別)
- 月々の使用料からの割引(月々サポート)1296円/月 x 24ヶ月 = 総額31,104円(税込)
- auのXPERIA Z3下取り22,000円
という条件で、当初24ヶ月は基本使用料より割引のほうが大きい計算になります。
- 1台あたり無料通話付き月額使用料 24か月分(税込): 934 x 1.08 x 24 = 24,209円
- 1台あたり割引合計:31,104+22,000 (税込)= 53,104円
- 1台あたりトータル: 24,209 – 53,104 = -28,895円
フィーチャーフォン(ガラケー)は、今のところ総務省の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に沿った端末購入補助の適正化等に係る携帯電話事業者への要請のスコープ外ということでしょうか。
我が家の場合、家族間無料通話以外の通話で使うことが少ないので、FOMAのタイプssバリューにしましたが、通話発信が多い方はXiのカケホーダイプラン(ケータイ)や、カケホーダイライトプラン(ケータイ)がお得です。
カケホーダイプラン(ケータイ)は、国内あての通話が24時間、2200円で定額。カケホーダイライトプラン(ケータイ)は1通話当たり5分以内の通話が無料で1200円です。これらの場合LTE対応端末の購入か、持ち込み契約が必要になるそうです。
購入したN-01GのSIMはminiSIM、DSDS対応のスマートフォンはnanoSIMで、そのままではサイズが合いません。ダメ元で「nanoSIMで発行してもらえますか?」と聞いてみたところ、その場で快諾してもらえました。そのかわりN-01Gの開通確認はできませんでしたが…。
あとで変更することも可能ですが、手数料がかかってしまいます。SIMについてはあらかじめ、必要なサイズを把握しておき、発行時に依頼するとよいでしょう。
得たもの失ったもの
この選択により、得たものもあれば失ったものもあります。
得たもの その1:トータルコストの大幅な低減
ドコモで、SONYのXPERIA XZを2台契約すると、端末代金、通信料(カケホーダイライト、シェアパック10GB、シェアオプション)、各種割引(月々サポート、家族まとめて割)、下取りを含めた24ヶ月の費用総額(税込)は364,240円。月あたり15,176円です。
他方、今回の私の選択の場合、端末代金(1台80,000円で計算)と、通信料、各種割引(月々サポート)、下取りを含めた24ヶ月の費用総額(税込)は117,935円。月あたり4,913円です。
2年間で25万円弱の節約は大きいです。
上記計算、途中の端数処理は適当なので、計算誤差分だけ実際の金額と差が出る可能性があります。
得たもの その2:グローバルモデルの自由
キャリアモデルの場合、早々にソフトウェア更新のサポートが打ち切られて、メーカーは海外で新しいAndroidバージョンのソフトウェアを提供しているのに、キャリアモデルではその恩恵にあずかることができないという歯がゆい状況でした。
グローバルモデルであれば、そんなこともなくなります。
最初からSIMロックフリーであること、余計で削除できないキャリアアプリがないこともメリットです。
グローバルモデルであればカメラのシャッター音を消せると思っていたのですが、最近は挿入されているSIMで挙動を変えるような実装になっている端末も多いようで、日本で使う限りキャリアモデルと差はないようです。悪いことをしようとしているわけではないです。念のため…。
失ったもの その1:キャリアのサポート
街中に数多くある、キャリアショップでのサポートが受けられなくなります。端末故障時に代替機を借りることや、端末の紛失や全損をカバーする補償もありません。
カバーを付けて落下しても液晶が壊れないようにするといった自衛策、壊れたら端末を買い替えるなどの覚悟が必要です。
失ったもの その2:キャリア品質の回線帯域
MVNOが安いことにはそれなりに理由があり、キャリアほどのデータ帯域がありません。これにより、利用者が増える時間帯(お昼時や夕方)には通信速度が遅くなることが多いようです。全く同じものが安く売っているというわけでもないことに注意が必要です。
MVNO事業者ごとに異なるので(確保している帯域と利用者の関係で決まる)、あまりにもひどくて改善が見込めない場合は、見切ってほかの事業者に移るなどの対策が必要です。
いろいろ調査測定した結果が公表されているのでそれらを参考にするのがいいでしょう。一般的な速度測定ツールに対しては、ドーピング(ベンチマーク向け最適化)をしているMVNO事業者もあるようなので、要注意です。速度測定ツールではなく、ファイル転送時間を計測した結果のほうが実際の性能に近いものになると思います。
失ったもの その3:おサイフケータイ
楽天Edyや、モバイルSuicaが使えなくなります。手元でのチャージができないです。こまめなチャージや、オートチャージ機能を使うなどの対策が必要です。
失ったもの その4:micro SDのストレージ機能
DSDS対応のスマートフォンの多くは2枚目のSIMはmicro SDカードとの排他利用になっています。つまり、SIMを2枚挿入している間は、micro SDカードが使えなくなるのです。それを考慮してDualSIMモデルは内蔵ストレージ容量が増えていますが、ちょっと心許ないのも事実。
ストレージの大部分を占めるのが、撮影した写真や動画なので、GoogleフォトやFlickrなどのオンラインフォトストレージを活用して、端末には保存しないけど、端末から閲覧できるようにする、といった方法をとることにより対策する予定です。
失ったもの その5:キャリアの独自機能と1.5GHz帯 (Band21)
VoLTEのようなキャリア独自の機能は当面使いません(規格ものなので将来使えるようになる可能性はあるかもしれませんが)。
執事のひつじなんかも、もちろん使えなくなります…。
また、1.5GHz帯 (Band21)には対応していないので、キャリアモデルより通信状況が悪くなることはあり得ます。しかし、ドコモ版iPhoneも同様なのでそうひどいことにはならないと考えています。
おわりに
ここまで、あるインデックス投資家のスマートフォン節約術として、キャリア契約とMVNO契約の合わせ技で大幅節約する1手法をご紹介してきました。
しばらく運用した後、新たに気づいた点、もくろみ通りに行ったところといかなかったところをまた記事にしたいと思います。
スマートフォン端末の仕様、キャリアのバンド情報、キャリアやMVNOの複雑な契約体系など、多くのことを調べて判断しなければいけないという点で、万人におすすめできることではありません。
ただ、自分で調べて判断して、その結果を自分の責任で受け入れられる人にとっては、スマートフォンにかかるトータルコストを大幅に低減できる可能性があります。逆に、こういったことをやる意気込みと覚悟がない場合は避けたほうがよいでしょう。
この記事が「よし、ここはひとつやってみるか!」と覚悟を決められた方の、なにかの参考にでもなれば幸いです。